Archive for 8月 2010
化粧品には薬事法によって事業者名・住所、配合された成分など決められた事項を表示しなければならないのですが、もう一つ公正競争規約というのがあります。これは景品表示法で定めるもので、その第12条に次のように規定されています。
(公正競争規約)
第12条 事業者又は事業者団体は、公正取引委員会規則で定めるところにより、景品類又は表示に関する事項について、公正取引委員会の認定を受けて、不当な顧客の誘引を防止し、公正な競争を確保するための協定又は規約を締結し、又は設定することができる。これを変更しようとするときも、同様とする。
景品表示法は、不当な景品や表示によって顧客を誘引しようとする行為を防止するための法律で、上の規定に従って各分野の事業者団体によって公正競争規約が定められています。この規約は、景品に関するものと表示に関するものに分けられているのですが、表示に関する公正競争規約で薬事法と関連するものとしては現在、化粧品、化粧石けん、合成洗剤・家庭用石鹸、歯みがき類、防虫剤の5規約があります。たとえば化粧品の表示に関する公正競争規約では、次の10項目が指定されています。
| 化粧品の表示に関する公正競争規約 | 対応する薬事法施行規則の項目 | |
| 1 | 種類別名称 | - |
| 2 | 販売名 | 名称 |
| 3 | 製造販売業者の氏名又は名称及び住所 | 製造販売業者の氏名又は名称及び住所 |
| 4 | 内容量 | - |
| 5 | 製造番号又は製造記号 | 製造番号又は製造記号 |
| 6 | 厚生労働大臣の指定する化粧品については、その使用の期限 | 厚生労働大臣の指定する化粧品については、その使用の期限 |
| 7 | 厚生労働大臣の指定する成分 | 厚生労働大臣の指定する成分 |
| 8 | 原産国名(原産地が一般に国名より地名で知られ、地名による表示が適切である場合は、原産地名。)ただし、一般消費者によって明らかに国産品であると認識されるものを除く。 | - |
| 9 | 施行規則で定める化粧品については、その使用上又は保管上の注意 | - |
| 10 | 問い合わせ先 | - |
| 11 | - | 薬事法第42条第2項の規定により基準が定められた化粧品にあっては、その基準において直接の容器又は直接の被包に記載するよう定められた事項 |
| 12 | - | 外国特例承認取得者等の氏名 |
上の表の右側に薬事法に定める表示事項を掲げていますが、このようにいくつか異同があります。
1の種類別名称は、「公正競争規約施行規則」の別表1に基準となる名称が掲げられています。
2の販売名は、薬事法の製造販売届等に記載した名称です。
6と7は薬事法の表示事項と同じです。7は全成分表示を意味します。
9は、「公正競争規約施行規則」の別表2により、シャンプー、エアゾール化粧品などが指定されています。なお、表示面積が狭いときのこれらの表示の一部の省略等についても規定されています。
公正競争規約は事業者団体が自主的に定めるもので、基本的にはその規約に参加する事業者に適用されるものですが、その業種の取引に関わる一般的なガイドラインとして留意すべきでしょう。
この例にかぎらず、複数の法律が関わるために煩雑に見える例はたとえば食品関連なんかでも指摘されます。また、ネット取引の拡大、グローバル化など種々の要因からこうした規制が厳しくなっている印象もあります。事業者サイドからすればある意味負担かもしれませんが、一方でコンプライアンス(法令遵守)の考え方が大きく捉えられるようになっているのも否めません。ともあれ、転ばぬ先の杖、ということもありますから、あらかじめその内容をよく把握し必要な対応を講じておくことが何よりです。
成分の表示について先に取り上げたので前後しますが、薬事法は化粧品の表示について、次の事項を直接の容器又は直接の被包に表示するように求めています。
- 製造販売業者の氏名又は名称及び住所・・・住所は、総括製造販売責任者が業務を行う事務所の所在地になります。
- 名称・・・製品の名称。製造販売届書に記載した名称になります。
- 製造番号又は製造記号
- 成分の名称・・・原則として全成分を表示します。
- 使用の期限・・・厚生労働大臣の指定する化粧品に限ります。
- 基準が定められた化粧品について、その定められた事項・・・薬事法第42条第2項に基づいて基準が定められた化粧品に限ります。
- 外国特例承認取得者の氏名等・・・薬事法第19条の2によって承認を受けた化粧品に限ります。
4はすでに書いたとおり、配合される成分すべてを記載します。5については次の化粧品が指定されています。
- アスコルビン酸、そのエステル若しくはそれらの塩類又は酵素を含有する化粧品
- 前号に掲げるもののほか、製造又は輸入後適切な保存条件のもとで3年以内に性状及び品質が変化するおそれのある化粧品
なお、これらは直接の容器又は直接の被包に表示するのが原則ですが、容器や被包が小さすぎて表示が困難な場合のための特例が設けられています。すなわち次に掲げる化粧品で、直接の容器又は直接の被包の面積が狭いため上記の事項を明瞭に記載することができない場合、左欄に掲げる法で定められた事項については、右欄に掲げる事項を記載することでこれに代えることができ、または記載を省略することができます。
- 2ミリリットル以下のアンプル又はこれと同等の大きさの直接の容器若しくは直接の被包に収められた医薬品
- 2ミリリットルをこえ10ミリリットル以下のアンプル若しくはこれと同等の大きさのガラスその他これに類する材質からなる直接の容器で、その記載事項がその容器に直接印刷されているものに収められた医薬品
| 製造販売業者の氏名又は名称及び住所 | 次のいずれかの記載をもつて代えることができる。 1.製造販売業者の略名 2.商標法によつて登録された製造販売業者の商標 |
| 製造番号又は製造記号 | 省略することができる。 |
| 使用の期限 | 省略することができる。 |
| 外国特例承認取得者等の氏名等 | 次のいずれかの記載をもつて代えることができる。 1.外国特例承認取得者の略名 2.商標法によつて登録された外国特例承認取得者の商標 |
化粧品に関わる薬事法の表示事項についての規定は以上ですが、これとべつに公正競争規約にも表示に関する規定があり、これもチェックしておく必要があります。
化粧品の成分規制については、平成13年(2001)に大きな変更がありました。それまで指定成分について表示することとしていたのを全成分について表示することに改めるとともに、個別の化粧品について事前に承認・許可を受けなければならなかったのを廃止し事前の届出によることとされました。化粧品の安全性については事業者の自己責任を前提とする一方で、ポジティブリストとネガティブリストを設けて配合成分についての規制を定めたのです。この部分は、10日の記事にありますように、化粧品基準として配合が禁止される成分、制限される成分が明記されています。
成分の表示の仕方については、これが消費者への情報提供の意味があることから、分かりやすい表示であることを前提にして次のような具体的な方法が示されています。
- 成分の名称は、邦文名で記載し、日本化粧品工業連合会作成の「化粧品の成分表示リスト」等を利用することにより、消費者における混乱を防ぐよう留意すること。
- 成分名の記載順序は、製品における分量の多い順に記載する。ただし、1%以下の成分及び着色剤については互いに順不同に記載して差し支えない。
- 配合されている成分に付随する成分(不純物を含む。)で製品中にはその効果が発揮されるより少ない量しか含まれないもの(いわゆるキャリーオーバー成分)については、表示の必要はない。
- 混合原料(いわゆるプレミックス)については、混合されている成分毎に記載すること。
- 抽出物は、抽出された物質と抽出溶媒又は希釈溶媒をわけて記載すること。ただし、最終製品に溶媒等が残存しない場合はこの限りでない。
- 香料を着色剤として使用する場合の成分名は、「香料」と記載して差しつかえないこと。
なお、表示の仕方については、上記のほか日本化粧品工業連合会からもガイドラインが出ています。
化粧品の表示事項については、成分以外にも製造販売業者の事業者名、所在地など記載しなければならないことが指定されていますが、これらは原則として化粧品の「直接の容器又は直接の被包」に表示することとされています。ただし、容器が小さすぎるなどして記載事項のすべてを表示するのが難しい場合もあることから、特に全成分表示については、次のいずれかにそれが記載されている場合は、「直接の容器又は直接の被包への当該事項の記載を省略することができる」としています(薬事法施行規則第225条)。
- 外部の容器又は外部の被包
- 直接の容器又は直接の被包に固着したタッグ又はディスプレイカード
- 内容量が五十グラム又は五十ミリリットル以下の直接の容器又は直接の被包に収められた化粧品及び前二号に掲げるもののいずれをも有しない小容器の見本品にあっては、これに添付する文書
- 外部の容器又は外部の被包を有する化粧品のうち内容量が十グラム又は十ミリリットル以下の直接の容器若しくは直接の被包に収められた化粧品にあっては、外部の容器若しくは外部の被包に添付する文書又は直接の容器若しくは直接の被包に添付する文書及びディスプレイカード
化粧品製造販売業者は自社が発売する化粧品を市場に出荷する前に、許可を受けた都道府県知事にその製品の製造販売届を提出します。
化粧品についてはラベルの表示の仕方について、製品に含まれる成分のすべてを記載するように定められています。またその前提として、成分については化粧品基準(平成12年9月29日厚生労働省告示第331号)に適合している必要があります。医薬品や医薬部外品については承認等の手続きを通して、製品の安全性などを審査するようになっていますが、化粧品は全成分表示によってそれを製造販売業者の責任の下に担保するようになっているのでこのような手続きになります。従って、製造販売届を提出するまでにこうした化粧品に求められる基準について確認を済ませておかなくてはなりません。
化粧品基準は、化粧品に含まれる成分について規制を設けるもので、主にポジティブリストとネガティブリストから構成されています。
ポジティブリストは、防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素について配合の制限を定めたものです。これらの成分については、防腐剤については基準の別表第3に、紫外線吸収剤については別表第4によって、100g中に含まれる許容配合量が示されています。これらはすべての化粧品に配合制限があるものと化粧品の種類によって配合の制限があるものとがあります。又、タール色素については、「医薬品等に使用することができるタール色素を定める省令」によることとされています。
■ ネガティブリスト
ネガティブリストは、防腐剤、紫外線吸収剤及びタール色素以外の成分について配合の禁止又は制限を定めています。化粧品に配合が禁止されるものは次のとおりです。
- 医薬品の成分、生物由来原料基準に適合しない物、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に規定する第一種特定化学物質、第二種特定化学物質その他これらに類する性状を有する物であって厚生労働大臣が別に定めるもの
- 化粧品基準別表第1に掲げるもの
配合が制限されるものについては、基準別表第2に100g中に含まれる許容配合量が示されています。これらはすべての化粧品に配合制限があるものと化粧品の種類によって配合の制限があるものとがあります。
化粧品についてのこれまで掲げた全成分表示及び化粧品基準については、輸入化粧品についても除外されません。したがって、国内で開発したものだけでなく輸入する化粧品についても、成分の確認と適正な表示が求められます。なお、成分分析を自社で実施できない場合には、薬事法に基づいて厚生労働大臣の登録を受けた登録試験検査機関を利用する方法もあります。
医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器(以下、まとめて「医薬品等」とします)の製造・販売については薬事法により規制されています。薬事法の定める許認可は複雑ですが、大きな柱として営業に関する許認可と医薬品等の製品に関する許認可があります。営業に関する許認可としては、製造販売業・製造業等についての許可制度があります。
このうち製造販売業とは、製品を市場に出荷するいわゆる元売りに関する許可です。薬事法は製造販売業者に製品の安全性・信頼性についての責任を負わせることになっており、製造販売業者はべつに定められた製造販売後安全管理基準(GVP)、品質管理基準(GQP)を遵守して営業を行うよう義務づけられています。
また、医薬品等を発売するには、市場に出荷する前に各製品ごとに承認・認証・届出の手続きを行わなくてはなりません。これは製造販売業者が行うことになっています。承認は国の機関による審査、認証は厚生労働大臣が認めた認証機関による審査が必要ですが、届出は審査を要せず製造販売業者の届出のみで済みます。薬事法は原則として承認又は認証の手続きを前提していますが、化粧品については通常その必要はなく届出によることとされています。製造販売業の許可は事業所の所在地の都道府県知事が行いますが、製品の届出(製造販売届)は許可をした都道府県知事に提出します。
化粧品はリスクの大きい成分を含む可能性が小さいので規制が緩和されていますが、その代わりに、製品への信頼性を確保する趣旨から化粧品基準を設け含有成分について規制を設けるとともに、製品には化粧品に含まれるすべての成分を表示し、事業者が成分内容について責任を持つことにしています。従って、製造販売業者は、製品を市場に出荷するまでに、成分分析などにより化粧品基準への適合を確認した上で、製品のラベルなどに適正な成分表示を行って市場に出荷することになります。これは輸入品についても同じです。