事業を始めるとき、個人事業にするか法人(会社)を設立するかという選択を迫られることもあるかもしれません。営業許可についていえば、一部を除いてほとんどの業種では個人による申請、法人による申請いずれも認めています。ただ、個人事業として許可を取って事業を立ち上げた場合、それを法人化したいというときには改めて許認可の問題が発生します。多くの業種では、個人で受けた許可を法人にそのまま継承することを認めていません。通常は、個人事業を廃止して新たに法人としての許可を取りなおすという手続きになります。これらは業種によっていろんなパターンがありますから、許認可の必要な事業を立ち上げる場合は、このことも念頭に置いて計画を立てる必要があるでしょう。

なお、現在の会社法では、例えば株式会社については、一円会社(資本金についての制限なし)、一人会社(取締役一人でも設立できる)も認められ会社の設立については比較的に取り組みやすくなっています。なお有限責任社員だけで構成する合同会社も徐々に普及しています。

株式会社

株式会社は、株主が出資した資本を元に、取締役または取締役会が会社の業務を執行します。株式会社は、発起人が集まり定款を作成し出資の方法等を決めた後、出資を行い、設立の登記をすることによって成立します。

■発起人

発起人は、定款に会社の組織、運営等に関する事項を定めます。株式会社は発起人1人でも設立できます。

■定款

定款は発起人が作成し、その全員がこれに署名または記名押印します。
株式会社の定款は、公証人の認証を受ける必要があります。
定款には次に掲げる事項を必ず記載するほか、会社の基本原則として必要な事項を規定します。

  • 目的:会社の行おうとする事業内容
  • 商号:会社名。株式会社を前後どちらかにつけて、「株式会社○○」または「○○株式会社」となります。
  • 本店の所在地:本社の住所。
  • 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
  • 発起人の氏名又は名称及び住所
■出資

出資については、発起人が設立時の株式のすべてを引き受ける方法と、発起人が引き受けるほかに株主を募集する方法があります。
発起人は、設立に伴う出資に関する事項、発起人が引き受ける株式数、募集する株式数等について決定します。
株式の引き受けの方法が決まったら、発起人及び募集に応じた出資者はその引き受けにかかる金銭を払い込みまたは現物出資をします。

■創立総会

株主を発起人以外に募集して設立する場合は、株式の払込後に創立総会を開催します。
創立総会では、設立時取締役等の役員の選任その他の議決を行います。

■株式

株式会社は、株主の住所氏名など所定の事項を記載した株主名簿を作成しなければなりません。
会社法では、株券を発行しないのを原則としています。株券を発行する場合は、その旨を定款に定める必要があります。
通常、株式は譲渡することができますが、定款に定めてこれを制限することができます。

譲渡制限を設けない会社=「公開会社」、株式の譲渡に制限を設けている会社=「非公開会社」。

■株主

株主はその引き受けた株式の額を限度に責任を負います(有限責任)。
株主はその株式の価額に基づき次の権利があります。

  • 剰余金の配当を受ける権利
  • 残余財産の配当を受ける権利
  • 株主総会における議決権
■株主総会

株式総会は、会社の組織、運営、管理に関する事項を決定します。
株主総会は、毎事業年度終了後一定の時期に開催(定時総会)しなければなりません。その他に、臨時総会はいつでも開催できます。

■役員

株式会社に必須の役員は取締役で、株式会社は取締役1人でも設立できます。
取締役以外に、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人、委員会を置くことができます。
公開会社でない中小会社の場合は、取締役のみ、取締役+監査役、取締役+監査役+会計監査人のような構成が考えられます。
役員は株主総会で選任します。設立時役員については発起人の過半数による議決又は創立総会(募集設立の時)で選任します。

■取締役

取締役の任期は原則2年間です。ただし、定款に定めて最長10年まで延長できます。
取締役は、各人が会社の業務を執行します。ただし、定款でべつの定めをすることができます。
取締役会を置かない会社では、定款の定め、株主総会の決議によって代表取締役を選任することができます。

■取締役会

取締役会を置く場合は、取締役3人以上が必要です。
取締役会設置会社は監査役をおかなくてはなりません。
取締役会を置く場合は、会社の業務の執行については取締役会で決定します。
取締役会は必ず代表取締役を選任しなければなりません。

■計算書類

株式会社は、各事業年度について計算書類、事業報告、附属明細書を作成し、所定の期間その本店に備え置かなければなりません。
計算書類=貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表。

■設立の登記

設立に関する手続きが終わった後、設立の登記をすることによって株式会社は成立します。登記申請日が会社の設立日になります。

■設立費用

株式会社の設立に必要な費用は次のとおりです。

  • 登録免許税:登記に際して法務局に納付。15万円。
  • 定款認証手数料:定款認証時に公証役場に納付。5万円。他に事務手数料が若干かかります。
  • 定款用収入印紙代:原始定款に4万円の収入印紙を貼付しなければなりません。電子定款の場合はこれは不要です。
  • その他:会社の実印、ゴム印等。営業許可を取るときは定められた許可手数料など。

合同会社

合同会社は、社員になろうとする人が出資をし、会社の業務を執行します。社員となろうとする人が定款を作成し、出資を行い、設立の登記をすることによって合同会社は成立します。
合同会社は社員1人でも設立できます。

■社員

合同会社の社員は、会社に出資を行い、会社の業務を執行します。
合同会社の社員は、有限責任社員であり、その出資した価額の範囲で会社の債務等に関して責任を負います。
一般的には、社員は会社に雇用された従業者をいいますが、法律でいう合同会社の社員は、会社の構成メンバーとしてその運営に関わって行く人を指します。

■業務執行社員

合同会社の業務(組織の運営、管理その他の決定)は各社員が執行します。ただし、業務を執行する社員を定款で定めることができます。この場合は、業務執行社員が会社の運営・管理について決定をします。他の社員は出資をするだけで会社の運営に関わりませんが、会社の業務や財産について調査することはできます。
業務執行社員は各自会社を代表します。
業務執行社員が複数の場合、定款の定め等によって会社を代表する社員(代表社員)を定めることができます。この場合は代表社員が会社を代表します。
法人は、合同会社の社員や業務執行社員になることができます。法人が業務執行社員になるときは、業務の執行を行う個人(職務執行者)を選任しなければなりません。

■定款

定款は社員が作成し、その全員がこれに署名または記名押印します。合同会社の定款には次に掲げる事項を必ず記載するほか、会社の基本原則として必要な事項を規定します。

  • 目的:会社の行おうとする事業内容
  • 商号:会社名。合同会社を前後どちらかにつけて、「合同会社○○」または「○○合同会社」とします。
  • 本店の所在地:本社の住所。
  • 社員の全員が有限責任社員である旨:合同会社は有限責任社員のみで構成されます。
  • 社員の出資の目的及びその価額又は評価の基準:合同会社の社員の出資は金銭または現物出資となります。

合同会社の定款は、公証人の認証を受ける必要はありません。

■出資

社員は、定款作成後、設立の登記をするまでに、その出資する金銭の払い込みまたは現物出資の履行をします。
社員が出資した自分の持分を譲渡するには、原則として全社員の承諾がなければなりません。ただし、これと異なる扱いを定款に定めることもできます。

■計算書類

合同会社は、各事業年度について次の計算書類を作成します。
計算書類=貸借対照表、損益計算書、社員資本等変動計算書、個別注記表。

■利益の配当

合同会社は、利益の配当の方法等に関する事項を定款で定めることができます。
損益分配の方法について定款で定めないときは、各社員の出資の割合に応じて定めます。

■設立の登記

設立に関する手続きが終わった後、設立の登記をすることによって合同会社は成立します。登記申請日が会社の設立日になります。

■設立費用

合同会社の設立に必要な費用は次のとおりです。

  • 登録免許税:登記に際して法務局に納付。6万円。
  • 定款用収入印紙代:原始定款に4万円の収入印紙を貼付しなければならない。電子定款の場合は不要。
  • その他:会社の実印、ゴム印等。営業許可を取るときは定められた許可手数料など。
■持分会社

会社には株式会社と持分会社があります。合同会社は持分会社の一つです。持分会社には次の種類があります。

  • 合同会社:有限責任社員のみで構成される。
  • 合名会社:無限責任社員のみで構成される。
  • 合資会社:有限責任社員と無限責任社員で構成される。

合同会社は株式会社や他の持分会社に組織変更することができます。

非営利法人と許認可

営業に関する許認可は必ずしも非営利法人を除外しているわけではありません。一般的な非営利法人には、NPO法人、社団法人、財団法人などがあります。非営利法人は営利を挙げることを目的としていませんので、収益の分配などについては制限を受けますが、特に営利を求めない福祉系の事業などではこうした法人による運営も行われています。

なお法律の改正により、社団法人、財団法人について設立手続きが簡素化され、運営に関する規制が緩和されていますので、非営利法人の選択肢としてこれらは今後大きな比重を占めてくるのではないかと思います。